認知症の早期発見と対応について

呉市の広大川

急速な高齢社会が進む現在の日本において、高齢者の約25%が認知症もしくは認知症予備群だという統計があります。
そこで認知症とはどのような病気でどのような対応が求められるのでしょうか。

認知症は脳の病気の一種

認知症とは脳の障害によって認知機能が低下し、日常生活の自立が妨げられる病気です。高齢に伴う物忘れは健康的な老化なのですが、認知症はあくまで病気なので早期発見・早期対応がとても大切です。
高齢による物忘れは「体験した記憶の一部を忘れる」「物忘れを自覚しているまたは思い出す」といった特徴があるのに対し、認知症は「体験したすべてを忘れる」「物忘れをしている自覚がない」「忘れた部分を作り直して取り繕う」といった特徴があります。
脳に障害をもたらす原因は様々です。認知症にもカテゴリーがあるので対応方法や治療法もひとくくりではありません。
たとえば医師がA認知症だと診断して薬を処方したけど症状は悪化して心配したご家族が認知症の専門外来で検査してもらったら実はB認知症で治療方法を変えたら症状が治まったというケースは多々あります。
診断は認知症の専門医に診てもらう事がとても大切です。
認知症の中でも最も多い割合なのがアルツハイマー型認知症です。新しい体験を記憶できず外出した理由や場所が把握できなくなってしまう症状があります。長年繰り返してきた行動が分からなくなる見当識障害などが見られる場合も多くあります。
脳卒中が原因となる血管性認知症も増えています。アルツハイマー型と比較して突如発症したり段階的に悪化したりします。手足のまひや歩行困難といった運動障害を伴うケースもあります。
近年はレビー小体型認知症と診断される方も増えております。これはアルツハイマー型と同様で神経変性疾患です。特徴的なのは初期の段階で幻視がみられます。「部屋に虫がいる」と騒ぎ周囲を驚かせる場合がありますが、本人は見えているので頭ごなしに否定せず症状に寄り添うような介護が必要です。

早期発見・早期治療で治る認知症も存在する

今日の医学では一般的に認知症は症状の進行を遅らせる事は可能であっても改善の見込みは考えられていますが、中には早期に発見して治療を行えば治る認知症もあります。
「突発性正常水頭症」は早期治療によって治る可能性のある認知症のひとつです。これは高齢者に多くみられる病気で認知障害や歩行障害、尿失禁といった症状が散見されます。この中でも歩行障害は早期に現れる症状なのです。歩幅が短くなりすり足のような歩き方になります。足が開いたような状態になったり転倒する場合もあります。歩行に障害がある場合は早期発見のためにも医師の診断を必ず受けるようにしましょう。
また受診される際には脳神経外科やCTやMRIの検査が可能な病院に掛かる必要があります。

医療機関で診察する事の重要性

症状の進行を抑え、日常生活を送れるように認知機能を守ることはもちろんですが、早期に発見して治療を行う事で改善の見込みがある認知症もあるので早期発見は大切です。
発見が遅れると治る可能性のある認知症でも手術など治療が不可能となってしまう場合もあります。日常生活で細かな変化を見逃さないことと医師の診断を受けることが重要です。違和感があれば即医療機関に足を運びましょう。
また近隣の人たちも支援者になる事ができます。生活の様子が普段と違っておかしいとおもったらお近くの地域包括支援センターに連絡しましょう。ここでは主任ケアマネージャーや保健師、社会福祉士といった専門家が在籍していて認知症を含め介護の相談を受けております。地域からの連絡は本人やご家族に伝えずすぐに支援をしてくれますのでこういった地域の声が認知症の方へのご尽力となります。

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