知っておきたい安全で要領の良い介助

ご家庭で介護が必要な方がいらっしゃる、もしくは介護が必要となる前に
知っておくと便利な知識をまとめました。介護で使う知恵は普段われわれの日常生活でも取り入れると
快適になるものが多いくあります。安全に暮らすためにぜひ覚えておきましょう。

無理をしない介護生活を

要介護者を支えたり動かしたりすることで、介助者にかかる肉体に負担を感じる事があります。特に高齢者の介助者の方は体力的にしんどくなってしまいます。そこで最小限の力で効率的に無理なく介護生活を送る方法や知恵はたくさんあるので以下に記してみましょう。

ボディメカニクスについて

ボディメカニクスとは、姿勢を安定させて余分な力を使わないで要介護者を支えたり抱えたりする技術です。運動生理学に基づいて看護や育児にも活用する事でも体の負担を軽減させるものです。

ボディメカニクスの基本条件

介助される方との間隔を狭める
介護者が介助される対象者との距離が短いほど力が伝わります。

介助される方の身体をコンパクトに
腕を胸の上に乗せ、可能であれば膝を丸め身体を小さくします。
力が分散すると重くなるのでコンパクトにすると介助しやすくなります。

広く支持基盤面積を取る
両足を肩幅程度に広げたり片足を斜め前に出すと足を閉じている時より身体を安定させることができます。

重心を下げて骨盤を安定させる
膝を曲げて重心を下げると腰に負担がかりません。安定度も高まるので体がぐらついたりすることを防ぎます。

体をねじらない
安易に体をねじると腰痛の原因に繋がります。足先を介助される方の方向に向けて介助しましょう。

できるだけ全身を使う
作業は腕だけで行いがちなのですが、人は足の力の方が強いので下半身を使う事を意識しましょう。

水平に移動する
水平に移動すると重力の影響を受けず負担が少なくなります。ひざ痛や腰痛の防止となります。

てこの原理を利用する
支点と力点を考慮します。解除される方の安定させる支持点と力を加える部分を頭に入れて介助するとずいぶん楽に動かせます。

ボディメカニクスの基本的なやり方

1.重心を下げて支持基盤面積を広くとる
重い物を持つときに体を引き寄せるようにすると持ちやすくなるように、まずは介助される方にできるだけ身体を密着させて重心を近づけます。
身体を支えるために必要な床面積の事を「支持基盤面積」といいます。この支持基盤面積を広くとる事で安定感が出ます。両足を肩幅くらいに開き、どちらかの足を前に出すと支持基盤面積は広がります。ひざを曲げて重心を下げると安定感が増します。
支持基盤面積を広くとる

2.コンパクトにまとめ、水平移動を行う
重さは同じでも小さい物の方が動かしやすいように、介護される方の腕を胸の上で組、足を立ててできる限り体を小さくまとめます。写真のようになるべく水平にスライドさせます。
水平移動で動く介助者

3.腕だけでなく身体全体を使い、身体をねじらない
手先や腕など一部のみを使用すると負担が集中してすぐに疲れてしまいます。背中や腰、足など全体を使う事を意識して負担を分散させましょう。またねじった姿勢で介助をすると力がでないばかりか腰痛の原因となってしましますので、肩と腰は常に平行に保つことを意識して動かします。
身体の一部だけではなく全身を使う

4.てこの原理を使う
てこの原理とは力を加える力点、力が働く箇所の作用点の間に支える箇所の支点を置く事で大きなものを小さな力で動かす原理です。これを利用して介護される方の身体を動かします。具体的には下記の写真のように介護される方のひじやひざ、おしりなどを支点にして遠心力で身体を起します。
てこの原理を使った介護

転倒防止に役立つ福祉用具

厚生労働省によると、「骨折・転倒が原因となって要介護になる」割合が10.8%を占めております(令和元年度調査)。転倒のリスクを回避する事が要介護になる状態を未然に防ぐために必要であると考えられます。そこで転倒を防止するために役立つ福祉用具を3つのパターンでまとめましたのでぜひご参考にしてみてください。

移動する際に使う用具

高齢者用の靴

高齢者用の運動靴
軽くて蒸れにくい素材を選びましょう。歩きやすくて履き心地も重視する必要があります。
通販ではなく必ず履いて確かめてあげましょう。

T字の杖

T字杖
脚が悪くふらつくようだと歩行時の身体のバランスの保持に欠かせないアイテムです。
身長に合わせて長さを調節しましょう。

歩行車

歩行車
T字杖では歩行時のバランスが取れなくなった方は歩行車の使用をお勧めします。
より安定性が高まります。

入浴の際に便利な介護用品

シャワーチェア

シャワーチェア
脚がお悪い方が座ってシャワーを浴びるのにとても有用です。
椅子から滑り落ちるのを防止するため低くて滑り止めが付いています。

浴槽用の手すり

浴槽用の手すり
浴槽をまたいで入浴ができない方は浴槽用の手すりをつけてみましょう。
あまりなじみのない介護用品なのですが、つけてみるとずいぶん楽に出入りでいます。

浴槽台

浴槽台
浴室内で身体の安定を図るためのものです。
座るとすべって溺れそうになる方もいらっしゃるのでご一考ください。

玄関・廊下・階段につける介護用品

手すり

階段とあがりかまち用の手すり
階段に上がる手すりはよく知られていますが、玄関のあがりかまちでも
上り下りが難しい方には手すりをつけましょう。

固定用スロープ

固定用スロープ
脚が弱くなると段差で転倒をしてしまう場合がとても多くなります。
なるべく平行して歩けるように工夫してあげましょう。

すべり止め

すべり止め
転倒を防ぐために最も取り入れたい介護用品のうちのひとつです。
階段だけではなく、おうちの滑りやすい箇所をチェックしてみる事も肝要です。

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